Yuki Takeuxhi Solo Exhibition “GESTALT of STASTUFF”
Shionoe Art Museum, Kagawa, 2025 Oct.18 – Dec.7

Knead without touching by hand (Sikhote Alin Meteorite)
2014- , Sikhote Alin Meteorite, oil clay, tripod, air duster, air compressor, MDF, stainless, aluminum, iron, ball bearings, acrylic resin, motor, Arduino, Dimensions : Variable (Installation dimensions : H2700xW5000xD6500mm)
「手を触れずに練る」
宇宙空間で互いに衝突する天体は、新たな物質や惑星を生み出し、そこに芽生える生命にも大きな影響を与えてきた。気が遠くなるほど広大な宇宙の中で、奇跡的に出会った天体は、破壊や崩壊を伴いながら、同時に多様なものを形づくってきたのである。
原始の地球もまた、数多くの天体がぶつかり合う過程で形成された。天体同士のせめぎ合いが惑星を生み出し、それまで存在しなかった物質が現れ、ときには消えていった。こうしたダイナミックな宇宙のサイクルを彫刻の方法に重ねてみると、自然に生成される「かたち」が、途方もなく長い時間のスケールと計り知れないエネルギーに基づいていることがわかる。身近な例に言い換えれば、川原に転がる石もまた、長い年月をかけて大小様々なエネルギーによって可変し、いま私たちの目の前に在る姿に至っている。
《手を触れずに練る(シホテアリン隕石)》は、宇宙空間における天体の衝突を「隕石」と「粘土」に置き換え、彫刻を制作する試みである。リングの中心に置かれたシホテアリン隕石は、彫刻における心棒、すなわち粘土で造形する際に骨組として用いられる芯材にあたる。その隕石を目がけて、離れた位置から粘土を飛ばし、塑造を行う。ここでの造形には、誰もが参加できる。
粘土の粒は小さくとも、そのひとつひとつに形が凝縮されている。小さな粒子を足したり引いたりしながら積み重ねていくことで、物事は変化し続ける。そのプロセスそのものを、美的なものとして捉え直したいという思いがあった。










Uniform of “Knead without touching by hand”
2014- , Patches, sweatshirt, H690xW540mm




Signal
2025, Data on approaching Near-Earth Objects (The Minor Planet Center, https://www.minorplanetcenter.net/), lamp, moving light, mac mini, monitor, wood, Dimensions : Variable (Installation dimensions : H2020xW1500xD730mm)
「シグナル」
地球には年間で数千個の隕石が降り注ぐといわれている。しかし、実際に地上で発見されるのは平均して十数個にすぎない。決して存在しないわけではないが、ありふれているともいえない。その希少性ゆえに、隕石は人類にとって特別な存在となっている。
人類の大多数は、地球の外に出て宇宙を直接経験することができない。隕石は、そんな地球の外部を想像する手がかりとなる。外見はただの石のようなものも、内部の結晶構造は独特で、科学的に見ても太陽系の成り立ちや進展を解き明かす重要な情報を宿している。
一方で、隕石は地球の生命に脅威を与える可能性もある。巨大な隕石衝突は、過去に大規模な環境変化や大量絶滅を引き起こしてきた。現在は、世界中の研究機関が協力し、地球に危険を及ぼす可能性のある天体を監視し、その対策をする「プラネタリーディフェンス」の取り組みが進行している。(ちなみに、地球に落下した天体の破片を「隕石」という。)
《シグナル》は、小惑星センター(The Minor Planet Center)が提供しているデータをもとに、「地球に接近する天体」を光のシグナルとして可視化するものである。
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〈シグナルの動作条件〉
地球に接近する天体の大きさが50m以上の場合:赤
地球に接近する天体の大きさが50m未満の場合:青
通常運転中:緑
ストロボ:天体が地球に近いほど速く明滅
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接近する天体の数は日によって変動し、全く無い日もあれば10個程度、観測されることもある。その中には月までの距離(約38万km)より近づくものもあるが、大半はより遠い軌道を通過していく。


Nuhoko
2025, Moldavite, motor, linear actuator, stainless, aluminum, iron, acrylic resin, water, spotlight, motion sensor, Dimensions : Variable (Installation dimensions : H1925xW1160xD700mm)
「ぬほこ」
『古事記』には、イザナギとイザナミが神々から授かった天沼矛(あめのぬほこ)で、渾沌とした世界をかき混ぜる場面が描かれている。その矛の先から滴り落ちた雫が堆積して淤能碁呂島(おのごろしま)となり、そこから国生み神話が始まる。淤能碁呂島の所在については諸説あるが、淡路島周辺にあたるという解釈が有力である。
淡路島のそばに位置する鳴門海峡の渦潮では、いつでも無数の泡が立ち上り、白く攪拌された海がとろんとした渦を生じさせる。その様子からは、イザナギとイザナミが、絶え間なく現在も世界をかき混ぜ続けているかのような印象を与える。
世界各地の神話には「渾沌(カオス)」から始まる物語が少なくない。カオスの語源であるギリシア語 Χάος(khaos) は、宇宙(コスモス)が成立する以前の秩序なき状態を意味していた。神話においても宇宙論においても、始まりは渾沌であったと考えられてきたことが興味深い。
造形という営みにもまた、無秩序の中から規律を見出していくプロセスが含まれている。その第一歩となるのは「感じること」である。揺らぎや動きを知覚し、自らの感覚を通じて有意味なイメージを積み重ねていく。言い換えれば、常に変化し続ける状況をどのように再解釈し、かたちとして定着させるかは、「感じ」をいかに再現できるかにかかっている。自然=神は自由であり、完全に固定化することはできない。その前提を受け入れたうえで、「現象」を造形として再構築しようとしている。







100 moto
2024-2025, Acrylic, pigment, water based resin, can (set of 118), Dimensions : Variable (Installation dimensions : H1225xW3000xD4800mm)
「100元」
約138億年前に宇宙が誕生し、最初に水素やヘリウムといった軽い元素が生成された。これらは宇宙の大部分を占める基礎的な元素であり、のちに最初の恒星をつくる材料となった。やがて恒星が誕生すると、その内部の核融合反応によって、炭素や酸素、窒素といった生命に不可欠な元素や、鉄など比較的重い元素が生み出されていく。さらにより重い元素は、超新星爆発などの壮大な天体現象によって形成され、宇宙空間へと撒き散らされた。こうして元素は少しずつ種類を増やしながら宇宙に広がり、惑星や生命の素材となっていった。現在、国際的に認められている元素は118種類に及ぶ。
元素の実体である原子の組み合わせによって、私たちの人体を含め、この世界に存在するあらゆるものが構成されている。この事実をあらためて考えると、にわかには信じがたく、不思議さを感じずにはいられない。
20世紀以降の彫刻では、日用品を含む多様なモノを組み合わせて造形する技法が発展してきた。モノは変形され、組み合わされ、配置され、ときにはそれ自体が作品となる。これらは、「構成彫刻」等と呼ばれている。今日では、ほとんど無限のものが造形の素材として扱われるようになった。素材をさらに還元していくと、それを形づくるのは原子とその化合物となる。言い換えれば、彫刻の素材とそれから成る彫刻は原子の集合体でもある。つまり彫刻とその素材、および原子に関わる「構成」は、入れ子状の図式をなしている。
物質をつくる原子の種類を「元素」という。したがって、元素とは実体というよりも概念である。《100元》はその元素を主題としている。原子は肉眼で見ることができないほど微細な粒子であり、元素はその性質を表す抽象的な概念である。だからこそ、目に見えないものや、一般的には捉えにくいものを「かたち」として可視化する美術にとって、元素は格好のモチーフだといえる。当然、元素には固有の性質があるが、《100元》で焦点を当てたのは、それが一体どのような姿やかたちを持ちうるのか、という点であった。あらゆる存在を形づくる元素を対象に、美術の基本である「色とかたち」を通して、造形感覚の原点 ― いわば「元素的なもの」― を探ろうとする試みである。
















SETI MISSIONS PATCHES
2022, Patches (5 varieties), stickers (4 varieties), leaflet, Capsule toy machine, wood, Dimensions : H1310xW440xD470mm
SETI MISSIONS PATCHES 2
2025, Patches (2 varieties), stickers (7 varieties), leaflet, Capsule toy machine, wood, Dimensions : H1310xW440xD470mm
Photo (All installation views) : Mikuto Tanaka
Works Archive

〇〇RI 〇〇RI 2025

Yuki Takeuxhi Solo Exhibition “SETI”
Azumatei Project, Yokohama, 2021 Jan.16 – Feb.14
